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FTS INTREPRENEURS AWARD 受賞者 飯野健太郎さん
株式会社coordimate 代表取締役CEO
飯野健太郎さん
2011年NTTドコモ入社。法人営業、M&AやPMI、出資先の経営管理、ドコモグループの教育系中核子会社にてコンテンツの責任者や経営企画などに従事。2019年より兼務で新規事業の立ち上げに着手。4年間の挑戦を経て2022年7月にcoordimateを立ち上げ、2024年4月よりドコモの新規事業共創プログラム「docomo STARTUP」における「STARTUPコース」適用第一号案件群としてスピンアウトし現職。
「答えは自分の中にあった」。6回のピボットの末に立ち上げたファッション相談アプリ「coordimate」
このシャツとこのネクタイはあっている？このパンツにこの靴だとおかしい？多くの人が日常的に感じているファッションの悩みや疑問を解決に導いてくれるアプリが2022年7月にローンチした｢coordimate｣。飯野健太郎さんは、株式会社NTTドコモの社員であり、このアプリを展開する株式会社coordimateの社長でもある。
「このアプリは、自身の全身写真を投稿するだけで、ファッション好きの一般男女『mate』から“アリ・ナシ”のリアクションやアドバイスといったフィードバックを最短30秒でもらえるファッション相談サービスです。服を選ぶのって大変じゃないですか。僕は昔から服装がダサいと言われ続けていて(笑)、自分に似合う服、失敗しない服を選ぶのが本当に苦手なんです。だから、人に見られる、見せる前に誰かからコメントをもらって修正できればいいなと。ファッションにも、スポーツのように練習する場所があればいいなという思いからこのアプリが生まれました」
ドコモグループ社員のアイデアを事業化する新事業創出プログラム「docomo STARTUP」で採択されたこのアイデアは、現在2.8万件以上のダウンロードを記録、事業はスピンアウトも果たした。だが、立ち上げるまでには長い苦労があったという。
「立ち上げまで4年間で6回のピボットを繰り返しました。当初は、新規事業の出発点がファウンダーである自身の課題感や価値観とうまく紐づいておらず、課題の深掘りや新たな視点での事業開発ができなかったんです。7案目は自分自身の課題と向き合おうと「服選び」について課題の深掘りやソリューションを考える際の調査やインタビューを進めると対象者に共感したり、逆に自分の価値観とは違う話を聞くことで、より課題が鮮明になっていく感覚がありました。最終的に服装に困っている人は『ダサいと思われたくない＝減点されたくない』というインサイトにたどり着けたことが、coordimate事業を進めてこられた最大の要因だと思っています。要するに、自分がいちばん困っているんだということになかなか気付けなかったんです」
会社は、飯野さんが苦闘する4年間を見守ってくれていたという。
「ありがたいことにまわりの方々が温かく応援してくれたことで4年間挑戦し続けることができました。僕と同じような立場で新規事業に取り組んでいる方は、『自分が挑戦することで会社や担当に迷惑をかけるかも』と思うことがあるかもしれません。でもそんなことを少しでも思っているとうまくいかない。自分のなかの“枠”を外して挑戦する気持ちが大切だと思います」
「coordimate」が教えてくれるのは服選びだけではない。そこには飯野さんの強い思いが込められている。
「インターネットやスマホの普及により、失敗しないようにすることが簡単になり、まわりと違うことをするのが失敗と見なされるような時代になっていると感じています。そういう時代だからこそ、行動や失敗を通じて、『自分は何をしたいのか、どんなことが楽しいのか』ということをひとりひとりが自信を持って決められる世の中になればいいと思っています。イントレプレナーも同じ。最初は『新規事業に挑戦している自分すごい！』くらいのスタートでもいいと思っています。でも課題を深堀っていく中や、困っている方との共感が強くなればなるほどのめり込み、熱量も上がっていくと思います。むしろ上がらなければ私のようにピボットを繰り返してもいい。失敗しても、継続して手を挙げ続けられる制度と周囲の応援がイントレプレナー活性化に繋がり、その新規事業が日の目を浴びなかったとしても、その行動は絶対本業にもプラスに働くはず。だから会社側も失敗を恐れず、『どんどん会社を使い倒してくれ』とメッセージを出してくれれば、もっとたくさんの人が挑戦できる社会になっていくのではないでしょうか」