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2024.08.23

FTS INTREPRENEURS AWARD 受賞者 小林俊さん

株式会社KAMAMESHI 代表取締役CEO
小林俊さん

2010年新日本製鉄(現:日本製鉄)入社。君津製鉄所にて生産管理に従事したのち本社に異動。営業部門、企画部門を経験後、19年より八幡製鉄所にて生産管理課長と構造対策プロジェクトマネージャーを担当。22年東南アジア統括事務所勤務を経て、23年8月に日本製鉄の社内起業制度の適用第1号として、出向起業という形でKAMAMESHIを創業。経済産業省の次世代イノベーター人材育成プログラム「始動」7期に採択、シリコンバレー選抜となり、DEMO DAY では優秀賞を受賞。

日本のモノづくりを守り、未来へつなげる。日本製鉄から出向起業した「KAMAMESHI」の挑戦

2023年8月、小林俊さんは日本製鉄株式会社からの“出向起業”という形で、株式会社KAMAMESHIを創業した。社名には、製造業全体を 「同じ釜の飯を食う仲間にしていきたい」という思いが込められているという。

「製造業では、製造設備を長期にわたって使用するため、構成部品の生産が先に終了し、メンテナンス時や故障時に交換が必要な部品が手に入らない状況が起こっています。また、これまで現場を支えてきた高い設備保全技術を持つベテラン社員や、中小企業を支えてきた設備メンテナンス業者・商社の数も年々減ってきているのが現状です。そこで『Kamameshi』では、会員となる製造業の会社に3つの設備保全に向けたサービスを提供しています。①企業間で売買ができるECサイト、②設備予備品の社内在庫管理システム、③設備技術人材による保全コンサル。今後はKamameshi会員企業によるコミュニティ形成も進め、共に未来を創りイノベーションを起こす仲間になれるように努めていきたいとも考えています」

製鉄所で生産管理を担当していた経験から、設備が故障した際の影響の大きさやリカバリーの大変さを感じていたという小林さん。営業担当のときには、製造業全体に広がる設備老朽化を目の当たりにしていた。製造業、特にその多くを占める中小企業の困窮をなんとかしたいという思いから、彼らを支える事業の仕組みを考えるようになっていったという。

「起業前から2年半をかけて、300名以上の方々に、実際に現場での困り事をヒアリングして課題の解像度を上げていきました。私のビジョンに共感した専門性の異なる多くの仲間が集まってきてくれたことで、多角的に課題を捉え、解決策を検討できたこともKAMAMESHIの起業において大きかったと思います。ただ日本製鉄には出向起業の制度や仕組みがなかったので、最初はすべてが手探り状態。多くの方にアドバイスをいただきつつ、理解者・応援者を少しずつ増やし、一歩ずつ実現に向けたスキームを検討していきました。社内の多くの方々が一緒に悩み、前向きに検討くださったおかげで、諦めずに、事業が実現できました。経済産業省による出向起業に対する補助金制度を活用できたのも大きかったと思います」

管理職から経営者へ。起業してからその違いを感じたという。

「組織をマネジメントすることと、経営することはまったく別。自分の判断や意思決定がすべての事業の結果に直結することに難しさややりがいを感じています。イントレプレナーという制度は社員育成に大いに役立つし、それは出向元の企業にとっても大きなメリットを生み出すはず。主体性と強い思いを持った社員が増えれば、生産性も事業推進のスピードも上がるし、多角化した際の事業を支える人材リソースも厚くなる。大企業においても、ひとりひとりが起業家のマインドで仕事を進めつつ、ビジョンや価値観を共有しながら連携して動ける。それが理想なのではないでしょうか」

そうやって大企業が変わっていくことが日本のイノベーションにつながると小林さんは語る。

「私は日本製鉄という会社が大好きですし、これからも大きな可能性がある会社だと信じています。このKamameshiの取り組みを通して、日本製鉄に新規事業や起業の経験値が蓄積されればいいなと思っています。日本製鉄とKAMAMESHIは、いずれ大きなシナジーを創出します。私たちは海外でのローンチも視野に入れています。世界中のモノづくりの仲間が協力しあい、世界中にあふれる製品アイデアやニーズの多様化に応えていくことができれば、日本の製造業に活気がよみがえるはずです」

日本を元気にするイントレプレナーを讃える「FTS INTREPRENEURS AWARD」受賞者発表 >

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