日本の未来は明るい! 「FASTAR 9th DEMO DAY」で感じたスタートアップの底力

会場の熱気から日本の明るい未来を感じたという人も多いかもしれない。7月19日、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(以下・中小機構)が主催する「FASTAR」の支援先スタートアップが事業計画と事業成果を発表する「FASTAR 9th DEMO DAY」が東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された。
多種多様、幅広い事業内容
ユニコーンやIPO、地域を担っていく中核企業を創出すべく、その予備軍となるスタートアップを支援するアクセラレーションプログラム「FASTAR」。この日、壇上に上がったのはFASTAR第9期として選抜された16社のスタートアップ。彼らはFASTARによる1年間のさまざまなプログラムで鍛えられてきたメンバーだ。
事業内容が多種多様なのもFASTARの特長といえるだろう。全社を紹介することはできないが、一部の企業の発表内容を紹介すると、「革新的プラットフォーム技術を利用した新規がん免疫治療薬の開発」(イムノメディスン株式会社)、「ワイヤレス充電とカテーテル治療を利用した心不全患者の眠りを助ける新しい治療」(株式会社HICKY)、「アフリカスモールビジネス向けの金融ソリューションと事業性融資の提供」(LIND PESA株式会社)、「自然の香りで“心、身体、行動”へアプローチする香り空間提案事業」(株式会社HERBAL8)、「高推力・安全・安価な宇宙機用推進系(エンジン)の開発」(Letara株式会社)、「高頻度・単段式・往還型の宇宙輸送機の開発」(将来宇宙輸送システム株式会社)などなど、かなり専門的なディープテック系スタートアップも数多く並んでいる。
“二冠”に輝いたのは……
各社に与えられたピッチタイムは5分間。その後、審査員との質疑応答が行われる。驚くのは、それぞれ短時間で難解な事業内容を見事に説明していたこと。参加企業のピッチは約3時間。専門的知識がなくとも内容をスルスルと理解でき、かつ興味深く聞くことができたのは、1年間専門家や外部メンターのアドバイスを受け続けてきた成果だろう。
全社のピッチが終わり、約30分後に表彰式が行われた。発表されたのは、5社5名の審査員賞と会場とオンラインの観客が選ぶオーディエンス賞。このなかで「モバイル・インターネットキャピタル賞」と「オーディエンス賞」に輝き、この日唯一の“二冠”となったのが、新規次世代半導体の研究開発と製造販売を行うPatentix株式会社だった。
「材料開発というのは なかなか評価していただけないことが多い。でも今日ここで頑張れと評価していただいたことを大変ありがたく感じています。我々、自分たちの事業を長く暗いトンネルを進んでいるようなものだと言ったりもするんですが、これを励みにこれからも一生懸命頑張りますので、どうぞ応援のほどよろしくお願いいたします」(Patentix株式会社 衣斐豊祐代表取締役社長)
勝者も敗者もいない
もちろん、この日集まった16社に勝者も敗者もいない。閉会後に行われた交流会では、参加企業と観客が入り混じり、活発に名刺交換が行われていた。観客として各社のピッチを見守っていたのは、協業先、支援先を探している大企業やベンチャーキャピタル。みなそれぞれが“審査員”となって、参加企業の熱弁を聞いていたはずだし、どの企業にも多くの人がさらなる説明を求めて集まり、賑わっていた。
四時間あまりの時間で知ったのは、日本には小さいながらも高い技術力と熱意を持ったスタートアップがたくさんあるということ。数年後、彼らのなかから世界を驚かすような企業が出てくるのではないか。そんな予感を抱かせる熱いイベントだった。
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