「言葉にできない感情」を、曖昧なまま受け止める 感情を色で記録するアプリ「iroai」開発チーム が1年半かけて見つけた、小さくて確かな手応え

2026.02.02
#スタートアップニュース

2024年9月、FTSが主催の“最速でイノベーターになれるサポートプログラム”「FUTURE TALENT STARS PROGRAM」(FTSP)に採択された感情を色で記録するアプリ「iroai」。
感情を「言語化しない」ことを前提にしたアプリは、現在、課金ユーザーを生み始めている。
その成長の背景には、コンセプトを変えずにこだわり続け、利用ユーザーと愚直に向き合い続けてきた努力がある。
なぜ、iroaiはユーザーに利用されつづけ、誰に、どのような価値を届けてきたのか。
そして、この1年半の取り組みの中で、チームは何を学び、次に何を見据えているのか。

本記事では、プログラム採択から現在に至るまでのiroaiの歩みを振り返りながら、
「言語化しない感情」と向き合うプロダクト開発のリアルに迫る。

言葉にできない感情から始まったプロダクト

感情を色で記録し、「自分と向き合う時間」をつくることでメンタルヘルスケアができるアプリ「iroai」。
サービスのコンセプトは、開発当初から一貫している。

「言葉で表現しづらい、言語化しづらい感情を、無理に言葉にしなくていい。
曖昧なものは、曖昧なまま捉えればいい。」(開発メンバー)

感情を記録するプロダクトでありながら、「言語化」を前提としない「色」で記録を行い、その情報をもとにAIが自身の感情の深堀りをサポートしてくれる。
さらには自身の感情を深堀りしていくことで発見した価値観を絵として表現してくれる「価値観ギャラリー」という機能もあり、言語化ではない形で自身を表現・記録できる体験ができる。

※価値観ギャラリーなど様々な機能がiroaiには搭載されている。

プログラム採択当時はまだ手応えがなかった
プログラム採択当時は、ユーザー数もまだ数えるほどという状態だった。

「正直、このまま続けて意味があるのか、本当に使う人がいるのかは分からなかったです。」(開発メンバー)

それでもチームは、「感情を言語化しない」というコンセプトを大事にし、
まずは目の前のユーザー体験を磨くことに集中した。

次第にそのコンセプトに共感をしてくれる、協力者が見つかり、アプリを積極的に紹介してくれるなど外部の協力を得ながら月間のインストール数も次第に増えていった。

少しずつ見えてきた“刺さるユーザー像”

利用ユーザーの分析を重ねる中で、iroaiが届いている人たちの輪郭が、少しずつ見えてきた。

共通していたのは、コンセプト通り、日々モヤモヤを抱えているが、それをうまく言葉にできない人たちだった。

「ジャーナリングが大事なのは分かっているけど、
何を書けばいいか分からない。」(iroaiユーザー)

「言語化しようとすると、逆に苦しくなる。」(iroaiユーザー)

そうした人たちにとって、
色で感情を記録するという行為は、
感情を外に出すための“最低限のアウトプット”になっていた。

課金ユーザーが生まれた理由
転機となったのは、課金ユーザーへのインタビューだった。

あるユーザーは、こう語った。
「色を記録するだけで、その瞬間、憑き物が取れる感じがした。」(iroaiユーザー)

言葉を選ばなくていい。
正解を探さなくていい。
ただ、そのときの感情を色として置いておける。

この体験こそが、iroaiの価値だった。

広告をほとんど打たない中でも、
“これは自分にとって必要だ”と感じ、課金を選択するユーザーが少しずつ現れ始めた。

成長とともに見えた難しさ
一方で、課題も明確になってきた。

「どこまでインタビューで聞いていいのか、どこから先は踏み込まない方がいいのか。その線引きが、本当に難しいです。」(開発メンバー)

また、toCモデルとしてのスケールの難しさも見えてきた。

課金率は現在約1%。
多くの人に届けるには、別の形での価値提供も考える必要がある。

この1年半で得た学びと、次に見据える未来

それでも、チームが得た確信がある。

「感情と向き合うための“立ち返る場所”には、確かな価値がある。」

iroaiは、前向きになることも、答えを出すことも強制しない。
ただ、自分と向き合う時間を静かに支える。

この1年半の取り組みを通じて得たユーザーの声とデータをもとに、
チームは次の展開を模索し始めている。

iroaiがこれからどのような形で広がっていくのか。
その挑戦は、まだ始まったばかりだ。

新着記事