【いまさら人にはきけないスタートアップ用語 vol.01】ベンチャーキャピタル(VC)とは? 

2025.03.19
#事業開発ニュース

横文字、略字が当たり前のように飛び交うスタートアップ業界。なんとなく使ってみてはいるけれど、実はよくわかっていないという言葉がありませんか? そんなスタートアップ1年生のための新企画がこの『いまさら人にはきけないスタートアップ用語』。第1回のテーマは「ベンチャーキャピタル(VC)」。これから起業目指す人が自身の事業アイデアを形にしていく過程でぶつかる大きな壁の1つとして資金調達がある。起業のための資金調達というと、銀行や金融機関からの融資と思っている人がいるかもしれない。失敗してしまうと多額の借金を個人で背負ってしまう……というのは昔の話。現在、起業を取り巻く環境は変化しており、資金調達の選択肢も多様化している。今回はその選択肢の中の1つである、「ベンチャーキャピタル」と呼ばれる投資会社について解説。これから起業を考えている方はぜひ参考にしていただきたい。

ベンチャーキャピタル(VC)とは

ベンチャーキャピタル(Venture Capital、VC)は、成長が見込まれる未上場企業(主にスタートアップ)に対して投資を行い、企業の成長とともに利益を得る投資ファンドのことを指します。VCは出資した企業がIPO(新規株式公開)やM&A(企業買収)を果たすことで投資リターンを得ることが目的です。

ベンチャーキャピタルの特徴

経営支援

VCは単に資金を提供するだけでなく、企業の成長支援を行うことが特徴です。これを「ハンズオン支援」と呼び、以下のような支援を行います。
・経営アドバイス:経営戦略や事業モデルの改善
・ネットワーク提供:顧客やパートナーの紹介
・マーケティングや販売支援:売上拡大のためのサポート
・採用支援:優秀な人材の紹介
・資金調達支援:次のラウンドへの投資家紹介

ファンド形式で運営

VCは、ファンド(投資基金)形式で資金を集めて運営されています。これらのファンドは、一般的に複数の投資家から資金を集め、その資金をスタートアップに投資します。
VCファンドは通常、7~10年程度の運営期間を持ち、その期間内に投資先企業を成長させ、IPO(新規株式公開)やM&A(企業買収)を通じてリターンを回収します。

運営主体によって投資戦略が異なる

VCは、運営主体によって、投資目的や戦略が異なり、企業の成長ステージ(フェーズ)や事業領域に違いがでてくることが特徴です。

VCの分類 特徴
独立系VC 資本が独立しているため、投資先の選定や戦略などを独自定めている
金融機関系VC 金融機関の事業とのシナジーや企業とのネットワークを強化するための投資などを行う傾向がある
政府系VC 地域経済の活性化や産業の発展、雇用の創出を主目的に、特定の業界や地域の成長につながる事業へ投資を行う傾向がある
大学系VC 大学の研究成果や技術を商業化することを主目的にテクノロジーの商業化や新たなビジネスモデルの創出を支援している
大企業系VC 運営している企業の事業戦略や技術開発、イノベーションを支援するため事業シナジーの高い企業に投資を行う傾向がある

ベンチャーキャピタルの投資と金融機関の融資の違い

VCの投資と金融機関の融資には、資金提供側の目的やリスクの取り方、資金の返済義務において大きな違いがあり、それぞれメリットデメリットがあります。

資金調達において、ベンチャーキャピタルはリスクを共有し、成長支援を行う形態であり、金融機関の融資は返済義務があり、経営権を維持したい企業に向いています。企業の成長段階や目的に応じて、どちらの資金提供を選ぶかを慎重に検討することが重要です。

■ベンチャーキャピタル(投資)と金融機関(融資)の違い

項目       ベンチャーキャピタル(投資)             金融機関(融資)

目的

企業の成長と株式価値の向上を目指す 安定的な利息収入を得る
資金提供の形態 株式投資 貸付
返済義務 なし あり
経営関与 あり なし
企業の選定基準 成長性や革新性を重視 返済能力や安定性を重視

■メリット・デメリット

メリット/デメリット      ベンチャーキャピタル(投資)            金融機関(融資)
メリット 返済義務なし、成長支援、ネットワーク提供、長期的パートナーシップなど 経営権の維持、予測可能な資金調達、迅速な資金提供、事業運営への影響が少ないなど
デメリット 経営権への影響、報告義務、利益分配など 返済義務、担保や保証の必要性、融資条件が厳しい、短期的な返済負担など

この情報を基に自分にあった最適なVCを見極めていただけると幸いです。

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