【中間レポート:FTSスタートアップ支援プログラム】「自分たちの強みと弱みが見えてきました」FTSP部門採択者・高林孝幸さん

2024年9月、“最速でイノベーターになれるサポートプログラム”「FUTURE TALENT STARS PROGRAM」(FTSP)に採択された高林孝幸さん。仲間たちとともに、感情を色で記録し、「自分と向き合う時間」をつくることでメンタルヘルスケアができるアプリ「iroai」をリリースした高林さんは、このプログラムでなにを学んだのか。折り返し地点で、現在の状況をきいた。
俯瞰してくれるメンターの存在
メンタルヘルスケアができるアプリ「iroai」を開発したのは、高林さんを含め全員が会社員としての本業を持つ「SENSE DEXIGN TOKYO」。アプリそのものは昨年リリースしていたが、その後の展開が見えなかったことからFTSPへの参加を希望していた。
「アプリのリリースはしたんですが、なかなか認知が上がらず、次の展開が見えてこなかった。専門家の意見を聞いたり、メディアの力を借りたりすることで、3年後、5年後にどう変わっていくのか期待しています」
プログラム開始当初、そんなふうに語っていた高林さん。半年間のプログラムは3ヶ月経過。期待通りに進んでいるのだろうか?
「これまでは6人でどんなモノを、どうつくるのかということばかり議論していました。この議論にメンターの森恭佑さん(ReGACY Innovation Group)という第三者の目線が加わったことで、それをユーザーにどう届けるかということを考えられるようになった気がします。森さんは僕らの議論に加わりながら、全体を俯瞰して意見してくれる。『99%毎日使っているユーザーを見つけましょう』とか『点ではなく、ストーリーとして考えてみましょう』とか、これまでにない視点を与えてくれることで、自分たちの強みや弱みが見えてきたような気がします」
「本気で起業する気があるのか」
「SENSE DEXIGN TOKYO」としての活動がスタートするのは、本業である会社員の仕事が終わってから。19時に始まったミーティングが夜遅くまで続くこともあった。「必ずしも起業を目指しているわけではない」という高林さんたちは、森さんの提案でVCとの面接にも臨んだ という。
「森さんは常に外の意見を取り入れようとしてくれます。ご自身が僕らの議論に参加したことで、『僕が身近になり過ぎているので、VCの方にも意見をきいてみましょう』と提案してくれました。実際にVCの方々と話してみると『本気で起業する気があるのか』という私たちの意志を真剣に探る姿勢が印象的でした。この経験を通じて、スタートアップのシビアな側面を垣間見ることができました」
プログラム採択後、テレビ朝日のスタートアップ応援番組「BooSTAR〜スタートアップ応援します〜」で紹介されたこともあり、アプリの登録者数は飛躍的に伸びている。
「登録者は伸びていますが、そこからの課金となるとさらに大きな壁があります。この壁を乗り越えることができたら、次の展開を具体的に考えることも視野に入れています。。でもまずは残り3ヶ月を走りきって、その結果が出てから仲間と一緒に考えたいと思います」
バランスをどうとるか
高林さんたちに伴走してきたメンターの森さんは、「iroai」の未来をどう見ているのだろうか?
「それぞれキャリアもスキルも違う個性のある6人が集まってひとつの目的に向かって連動しながら進んでいく感じは『ONE PIECE』みたいだと思って見ています。課題としては、自分たちがやりたいことと、ユーザーが求めることのバランスをどう取るか。ユーザーの意見をしっかりと取り入れながら、でも自分たちのこだわりも決して忘れない。これがどちらに傾きすぎてもうまくいきません。僕も現時点で起業するかどうかを決める必要はないと思っています。それは具体的な数字、結果を見てから判断すればいい。でも6人の情熱、みんなが楽しんでやっていることが大きな推進力になっている。このまま頑張っていけば、未来が開けるかもしれません」
高林さんは「これまでにない濃密な3ヶ月を過ごしている」と語る。残り3ヶ月、さらに濃密な時間を過ごしたとき、彼らはどう変わっているのか。そのタイミングで改めてレポートしたい。
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