渋谷は日本のシリコンバレーになれる? 「GRIC2024」トークセッションレポート

2024.11.27
#スタートアップニュース

渋谷が生まれ変わっている。かつての若者の街、ファッションの街からビジネスの街、スタートアップの街へ。「GRIC2024」のオフラインイベントから注目のトークセッションをピックアップ。いま渋谷でなにが起き、どこへ向かっているのか。渋谷の未来を創るキーマン4人が語り合った。

新しい渋谷をつくる4人が集結

スクランブルスクエアは、もはや渋谷を超え、日本の象徴的スポットとなっている。世界中の人が集まり、スマホを掲げて写真を撮り、世界へと発信する。その“上空”には次々と新しいビルが建ち、新しい渋谷をつくり続けている。渋谷はどこへ向かうのか。その鍵を握る4人が集まったトークセッションは非常に興味深いものとなった。登壇したのは、東急株式会社 フューチャー・デザイン・ラボ マネージャー田中浩之さん、東急不動産ホールディングス株式会社 CX・イノベーション推進部 グループリーダー佐藤文昭さん、渋谷区役所 グローバル拠点都市推進課 瀬野小枝子さん、シブヤスタートアップス株式会社 CEO 渡部志保さんの4名。

「渋谷をシリコンバレーのようにしたい」と語ったのは、東急の田中さん。渋谷の再開発を進めているのが東急株式会社、東急不動産株式会社など東急グループだということはよく知られている。シブヤスタートアップス株式会社は、その渋谷に世界中からスタートアップを呼び寄せ、渋谷区役所は集まったスタートアップを支援するという立場だ。実際、いま日本全国の自治体がスタートアップの誘致や支援を行っているが、渋谷はそのなかでもひとつ頭を抜けた存在感を見せている。「日本のシリコンバレー」にいちばん近い街といっても過言ではないだろう。

グローバルでローカルな街へ

この日のテーマは、「渋谷から始まるグローカルゲームチェンジ:都市✕スタートアップの新たな挑戦」。

「東急不動産ではディープテックのアクセラレーションのための国際的な拠点を来年オープンすることになっていて、現在MITの方との協議を進めています」(東急不動産ホールディングス 佐藤さん)

「日本ならでは、日本だからこそのスタートアップを支援していきたい。たとえば、世界のVTuberの75%は日本に住んでいます。これはすごい数字だと思いますし、大きな可能性を秘めている。VTuberを目指す人は世界から日本を目指している。私たちはそういう海外から来る人たちの支援も行っています」(シブヤスタートアップス 渡部さん)

「渋谷区でも海外のスタートアップ支援を積極的に行っています。日本で実証実験をしたいときなどの受け口になって、日本でチャレンジしたいという海外スタートアップに対し、無料のコワーキングスペースを提供するなどのサポートをしています」(渋谷区役所 瀬野さん)

スタートアップに支援してもらいたい

渡部さんから飛び出したのは、渋谷らしいキーワード“ボーダレス”。

「世界中の80%、90%が使う製品、サービスをつくるのは難しいと思います。でも言語や人種を超えて、同じようなものが好きだったり、興味を持ったりする人たちがいる。そういうコミュニティが世界の5%になれば、すごい数字じゃないですか。だからこれからは国とか地域とかを超えたボーダレスな価値観を提供していくことを考えてもいいのかもしれません」

グローバルであり、ボーダレス。まさに渋谷という街そのもののあり方を示しているよう。場所があり、挑戦する人々が集まり、彼らを支援する人たちがいる。

「スタートアップ支援という言葉を使っていますが、本当のところをいうと、スタートアップの方に支援してもらって、渋谷区をもっといい街にしていきたいと思っています。みんなでいっしょにいい街をつくっていければいいなというのが渋谷区の、私たちの思いです」(渋谷区役所 瀬野さん)

心強いのは、彼らがみんな若い世代だということ。目先だけでなく、10年後、50年後、100年後の渋谷をどうつくっていくか。彼らが担っている。

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