入山章栄教授の「最新スタートアップ講座」vol.13 「最強の仲間を見つけた人間が成功する」

早稲田大学大学院文学経営管理研究科教授であり、長年日本のスタートアップについての研究を続けてきた経営学者の入山章栄さんによる最新スタートアップ講座。いくら優れたアイデアを持っていても、ひとりではうまくいかないのがスタートアップ。では、どんな仲間とどんなふうに起業すればいいのか、入山先生に訊いた。
最小かつ最強のユニットは?
どんなカリスマ経営者でもひとりでできることには限界がある。特にスタートアップが成長曲線に入ったとき、大きくなっていく組織を束ねていくには経営者と思いをひとつにしたパートナーの存在が欠かせない。
「スタートアップのチーム作りはいろいろなケースが考えられますが、最低限2人。この2人の組み合わせがよければ、企業は大きく成長します。たとえばホンダの本田宗一郎と藤沢武夫、ソニーなら伊深大と盛田昭夫。ひとりがテクノロジーを担当し、もうひとりがビジネスを担当する。この組み合わせが最小かつ最強のユニット。大切なのは、2人の能力がともに高いこと。片方の能力だけが突出していると、最初のうちはうまくいっても組織が大きくなればなるほどひずみが生まれてくるんですよ」
能力の高いパートナーはどうやって見つければいいのだろうか?
「難しいですよね。人の巡りあわせばかりは、なかなかコントロールできない。逆にいえば、最高のパートナーを見つけるというのも経営者にとって必要な能力といえるでしょう。ただ、パートナー選びでやってはいけないことはわかっています。それは仲のいい友だちを会社に引き入れること。気の合う友だちが近くにいるという精神的な安定は得られるかもしれませんが、問題はその友だちに能力がなかったとき。もともとの友だちだから切るのが難しいじゃないですか(笑)。お笑いコンビでもバンドでも、初期は学生時代の友だち同士でやっていたけど、結局うまくいかなくて新しい仲間を募るというパターンも多いでしょ。ビジョンを共有できる有能な人を見つけて、その人と仲良くなるのが理想です」
スタートアップは“ONE PIECE”
優れたアイデアを持った技術者は、お金に疎く他人に興味がないというのが世の常。財務や人事の面を支え、会社の手綱をしっかりと握る参謀役が必要だ。
「気をつけてほしいのは、いい給料を払えばいい人材に出会えるかというと、それもまた別だということ。スタートアップでよく聞くのが、経営者が知らないうちに財務担当が会社の金を着服していたという話。金で動く人はやっぱり金が好きなんですよ。そういうこともあるから、僕がよく言っているのは経営者は“人たらし”でなければならないということ。スタートアップは“ONE PIECE”みたいなもの(笑)。最強の仲間を見つけた人が最強の組織を作れるんですよ。人を見る目も必要だし、なにより人が集まる人間でないとうまくいかない。アイデアもある、技術力もある。でも仲間とうまくやれないから事業がなかなか軌道に乗らない。そういう経営者もたくさんいますよ」
結局、大切なのは人間力。アイデアや技術だけでなく、自分自身を磨くことも忘れないようにしたい。
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